漢方ドットコム ドクター漢方インタビュー

ドクター漢方インタビュー…漢方って奥が深い

漢方治療の本場「中国漢方ガン治療」の現場からリポート
ガン治療専門医の三好立医師(銀座並木通りクリニック院長・キャンサーフリートピア代表医師)は、亀田総合病院、癌研究会附属病院、福岡大学病院などで外科医として一線で活躍していました。

2006年、ドクハラという言葉の生みの親である故・土屋繁裕医師の後を継いでキャンサーフリートピア2代目代表医師に就任しました。土屋医師が生前に漢方療法を実践されていたことから、三好医師も抗ガン漢方医療に少なからず興味をお持ちでした。

今回、中国(漢方)医学に西洋医学を取り入れた「中西医結合医療」でガン治療を実践している中国・珠海市の病院と漢方研究開発の最前線にあるマカオ技術大学付属科大学病院を訪れ、 “漢方の本場”を見てきました。三好医師にその見聞・体験をリポートして頂きました。


ガン治療に漢方薬を取り入れている病院の実際
我々日本の医師、特に西洋医学を中心に学んできた医師は、抗ガン漢方について殆どなじみがありません。日本の医療の現場ではガン治療に漢方薬を補助的に使用することはあるものの、「抗ガン漢方」として治療の中心に据えることは殆どありません。

それは、日本では西洋医学が明治維新とともに国の医療の要として採用されたのが大きな理由です。

今でも日本の医療・医学教育は西洋医学中心のため、一般に日本の医学教育を受けた医師は、漢方医学に明るくありません。ましてや、手術、化学療法、放射線治療を中心とした標準治療でガン治療にあたっているガン治療専門医にとって、漢方によるガン治療となると、「へぇ〜、中国には漢方のガン治療があるんだ・・・」、くらいの認識が一般的です。

私はここで西洋医学の方がいいとか、漢方医学が優れているとかの議論をするつもりは全くありません。いろんな選択肢の中で、患者さんは「いいとこ取り」をして、ご自分の治療・健康維持などに取り入れていけばいいのです。

さて、そういった日本での一般認識の中、今回、その漢方薬の本場・中国を訪れる機会を得ました。中国はお隣の国でありながら、実際にどの様なガン治療が行われているのか、日本にいるときは全く情報がありませんでした。

それを今回、香港からフェリーで30分ほどの珠海市にあるガン治療専門の振国腫瘍病院を見学させていただく幸運に恵まれました。国が変わり、ガン治療の方法論が違っても、ガンを治したい、ガンと上手くつき合っていきたいといった目的は皆同じはずです。

山の頂上を目指すのに、必ずしも道は1つではないというだけの話です。何よりも、ガン治療の選択肢が増えることはいいことです。私の見聞してきた中国でのガン治療をご紹介したいと思います。

病院は潮風の気持ちのいい海沿いに位置し、とても風光明媚な場所にあります。ガンに限らず、病気を治療したり療養生活をおくる環境の雰囲気というのはとても大切です。同じ治療をするにも、気持ちが落ち着き安らげる環境にあることは病と闘っていく大切な要素のひとつです。

病室はミルクホワイトを基調とした清潔感のある色調からなり、家族で滞在できるようとてもゆとりを持って造られていました。病室の窓は大きく、開放的で柔らかな光が病室に満ちあふれています。

窓を開けると海からの柔らかい暖かな潮風が病室を駆け抜けます。とても爽やかで気持ちが良く、リゾート地のコンドミニアムに滞在している気分です。

洗髪専用室や浴室(漢方風呂)、マッサージルームなども完備しており、いままで、たくさんの病院を見てきましたが、ここなら自分も入院してみたい、と思う病院のひとつです。


▲日本から来た入院患者の人の話を熱心に聞く三好先生


ガン細胞のアポトーシスを誘導するという中国漢方
振国腫瘍病院では、抗ガン漢方薬を中心として、漢方薬の点滴や座薬、漢方医学だけにこだわらず、必要に応じて西洋の抗ガン剤(私が見学したときには5-FU を使用していました)や放射線治療、動脈塞栓術といった西洋医学の治療も併用されます。

西洋、東洋といった垣根を取り払って、とにかく良いモノ、患者さんのためになるものは何でも取り入れよう、という治療コンセプトです。

今回、日本人のガン患者の人が治療を受けられていました。息子さんが中国で仕事をしている関係から、ご本人を日本から呼び寄せて治療しているとのことでした。

病名は進行胆管癌で、入院当初は歩くこともできなかったとのことですが、1ヶ月程で散歩に出歩けるようになるまで体力が回復し、病状も安定したとお聞きしました。息子さんのそばで治療が受けられること、中国に来て治療できたことをとても喜んでおられたのがとても印象的でした。

さて、今回拝見した振国腫瘍病院での漢方薬の点滴などの治療は法律上の問題から日本国内での実践は困難です。

しかしながら、実際に病状が回復し、元気なお顔を見せる患者さんを見ると、漢方を中心としたガン治療も治療の選択肢として十分ありだと感じました。


▲入院患者の人たちがみんな明るく、元気なのにビックリ・・・

鈴木徹也医師


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