■漢方での診断と処方
「アレルギーとは、免疫反応によって引き起こされる全身性、または間接性の障害をいう」と現代ではこのように定義づけられています。
つまり、身体の調節機能の異常、とくに過剰な免疫反応が起こって、身体に障害を与えて生じるのがアレルギーです。
漢方薬は、こうした免疫機能を調節し、高めたり、体質改善をおもな目的として用いられます。
漢方療法においては、体力の有無のほか、肌の状態、冷え・のぼせの有無によって処方が使い分けられます。また、精神不安やストレスを解消するためにも用いられます。
■よく用いられる漢方薬(一例)
実証
●黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
かゆみ、のぼせ、目の充血、動悸、口の喝きなどの症状がある人の皮膚炎に用いられます。
虚実間証
●加味逍遥散(かみしょうようさん)
肩こり、疲労感、冷え症などの症状がある人に用いられます。
虚証
●柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
虚弱で、神経症、かぜ、空せき、食欲不振、冷え症などの症状がある人に用いられます。
■漢方での診断と処方
急性の細菌性胃腸炎では、病原菌を特定し、適切な化学療法と十分な水分補給を行うことが原則で、漢方は症状の軽減や体力回復のために用いられます。
■よく用いられる漢方薬(一例)
虚実間証
●胃苓湯(いれいとう)
水様性の下痢、嘔吐、口の渇き、腹痛、食欲不振、むくみ、尿量減少などの症状がある急性胃炎や食あたりに用いられます。
●黄芩湯(おうごんとう)
かぜによる胃腸炎で、寒け、発熱、下痢、腹痛などの症状がある人に用いられます。
虚証
●安中散(あんちゅうさん)
やせ型で、腹部の筋肉がやわらかく、上腹部痛、胸やけ、げっぷ、食欲不振などの症状がある神経性胃炎、慢性胃炎に用いられます。
●小建中湯(しょうけんちゅうとう)
疲れやすい、腹痛、動悸、手足のほてり、冷え、頻尿および多尿、神経過敏、食欲不振、下痢などの症状がある人の慢性胃炎に用いられます。
■漢方での診断と処方
漢方では、うつ病は「瘀血」「気うつ」「気虚」などと関連する症状と考えられ、証や随伴(他の症状が伴う)症状にあわせて、駆瘀血剤、気剤(柴胡剤)などが処方されます。しかし、まずは医師の処方する西洋医薬の抗うつ薬の上手な使用が先決です。
■よく用いられる漢方薬(一例)
実証
●柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうぼれいとう)
みぞおちから右脇腹に抵抗・圧痛がある人に用いられます。
虚実間証
●半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
のどや食道の異物感、めまい、吐き気・嘔吐などのある人に用いられます。
虚証
●加味帰脾湯(かみきひとう)
顔色が悪く、貧血ぎみ、不安、動悸、不眠などの症状がある人に用いられます。