漢方ドットコム 漢方薬ガイド

排尿異常

漢方での診断と処方
排尿時の異常は、問診や下腹部の視診・触診のほか、直腸内指診などの前立腺の検査、血液や尿の検査、尿道や膀胱検査などが行われ、原因となった病気を治療します。

しかし、からだに器質的な異常がみつからず、心理・社会的な問題が強く認められる場合には、治療のために抗不安薬の使用や精神療法などが行われることもあります。

漢方療法において、排尿障害の多くは加齢にともなう腎虚によるものと考えられています。そして、器質的な異常のない尿路系の機能的な異常に対して漢方薬が処方されます。

よく用いられる漢方薬(一例)
虚実不問(証にかかわらず)
●猪苓湯(ちょれいとう)
   口の渇き、下半身がむくむ、尿の量が少ない人の排尿困難や排尿痛、残尿感に用いられます。

実証
●竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
   女性ではおりものがあり、下腹部の膨満感、排尿痛や残尿感がある人の頻尿に用いられます。

虚実間証
●五淋散(ごりんさん)
   やや慢性化した排尿痛、残尿感、尿の濁り、血尿などかある頻尿に用いられます。

虚証
●牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
   下半身の脱力感、冷え、しびれ、口の渇きを訴える頻尿(とくに夜間頻尿)などの症状がある人に用いられます。


肥満

漢方での診断と処方
筋骨が充実した実証か、水ぶとりの水滞かによって処方が使い分けられるほか、便秘や月経異常なども影響します。

漢方薬を定期的に服用し、食事時間や内容を見直して排便・睡眠時間など生活のリズムを整え、同時に肥満を解消する目的や減量の目標をしっかりもちましょう。

よく用いられる漢方薬(一例)
実証
●大柴胡湯(だいさいことう)
   みぞおちから両脇腹を押すと痛む、口が苦く、肩こり、便秘、疲労感などがある人に用いられます。

虚実間証
●加味逍遥散(かみしょうようさん)
   肩こり、不眠、発作性の発汗、便秘かちの人に用いられます。

虚証
●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
   虚弱、疲労感、冷え症、月経異常、むくみ、動悸のある人に用いられます。


不眠

漢方での診断と処方
漢方薬は、心身のバランスを整え、緊張を和らげるために用いられます。漢方処方は、神経症状の程度、心身の疲労状態や証の違いによって選びましょう。

よく用いられる漢方薬(一例)
実証
●黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
   比較的体力があり、顔が赤い、イライラ、のぼせ、肩こり、動悸、胸苦しさなどをともなう人に用いられます。

虚実間証
●加味逍遥散(かみしょうようさん)
   背中が急に熱くなる、汗が出た後に熱くなるなどの更年期障害に多い、いろいろな不定愁訴をともなう不眠に多く用いられます。

虚証
●加味帰脾湯(かみきひとう)
   体力が衰え、疲れやすく、血色が悪い人で、イライラする、物忘れしやすい、眠れない人などに用いられます。


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