■漢方での診断と処方
末梢血液循環の不良や静脈のうっ血のような症状(瘀血)の状況、冷えの有無、腰部や腹部の筋肉の緊張の程度をもとに、使用する漢方薬を決めます。
五十肩の場合も、慢性と急性などの症状により処方を使い分けます。
■よく用いられる漢方薬(一例)
実証
●桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
下腹部に抵抗感があり、便秘、のぼせ、めまい、頭痛、不眠などの症状がある人に用いられます。
虚実間証
●五積散(ごしゃくさん)
胃腸が弱い、湿気が多いときに腰・下腹部・足などの痛みがおこる、下半身が冷える、疲れやすいなどの症状がある人に用いられます。
虚証
●桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
手足の関節の痛み・むくみ、冷え症、悪寒などかある人に用いられます。
■漢方での診断と処方
赤ちゃんの夜泣きには、漢方薬の使用がたいへん効果的です。なかでも、額や目の近くに、青筋立った静脈がみられる場合には、抑肝散加陳皮半夏や抑肝散が処方されます。
■よく用いられる漢方薬(一例)
虚実不問(証にかかわらず)
●柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
てんかん、夜泣き、精神不安、イライラ、動悸などの症状かある人に用いられます。
虚証
●甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
おもに、女性や子どもで、夜泣き、神経の興奮、不眠症、チック、ひきつけなどの症状かある人に用いられます。
●小建中湯(しょうけんちゅうとう)
夜尿症、虚弱児童、幼児ヘルニア、夜泣きなどの症状がある人に用いられます。
●抑肝散(よくかんさん)
小児疳症(疳の虫)、不眠症、夜泣きなどの症状のある人に用いられます。
■漢方での診断と処方
器質的な病気が原因でないと考えられる場合、不安や緊張をとり除くために漢方処方が併用されます。
夜尿症の場合、冷えをともなう虚証であることが多く、小建中湯や桂枝加竜骨牡蛎湯が用いられます。
■よく用いられる漢方薬(一例)
実証
●越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
比較的体力があり、むくみ、口の渇き、尿量減少、汗をかきやすいなどの症状がある場合に用いられます。
●葛根湯(かっこんとう)
比較的体力があり、自然発汗がない、発熱、寒けなどの症状をともなう小児に用いられます。
虚証
●桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかちゅうこつぼれいとう)
虚弱、下痢、下腹部に緊張感があって、やせて顔色が悪く、神経過敏で、よく寝ぼけることがある小児に用いられます。
●小建中湯(しょうけんちゅとう)
虚弱、血色が悪い、疲れやすい、腹痛、動悸、寝汗、手足のほてり、冷えなどの症状かある小児に用いられます。
●苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)
虚弱、腰に冷え・痛みなどがあって、尿量が多い小児に用いられます。