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脳卒中(脳梗塞、くも膜下出血、脳出血など)の症状、治療、予防や後遺症でお悩みの方に、漢方療法を中心とした最新情報を紹介します。

 

脳卒中と漢方治療

「地のめぐり」を正す漢方療法

脳卒中(脳血管疾患)は脳血管障害ともいうように、脳の血液の流れ、血液循環の障害による病気です。漢方医学(中国では「中医学」という)では「血のめぐり」といわれていますが、私たちがよく使っている「血のめぐりが悪い」などと通じるものです。西洋医学的にいえば、抹消の微小循環障害、血液凝固能の異常、出血をともなう組織の障害などさまざまな血液循環の病態を複合した症候群であると考えられます。

血液は、人間の体の組織や細胞活動に不可欠な酸素と栄養素の供給から、代謝の産物である炭酸ガスや老廃物の除去を血液循環が行っています。この血液循環、つまり「血のめぐり」がスムーズにいかなければうっ血の状態となり、血管に血の塊や血管壁に老廃物がたまり、血の流れが詰まったり、止まったり、出血したりして、脳卒中を引き起こすのです。その原因を、漢方医学では「血のめぐり」が悪くなる「うっ血」としてとらえていたのです。

このように、脳卒中の原因は血流の問題で、漢方医学でも血のめぐりが悪くなるうっ血が脳卒中の原因となっているととらえているのです。漢方ではうっ血を改善して血の流れをよくする漢方薬を中心にして、体全体の血液の流れを正す治療を行っています。

また血液中のコレステロールや中性脂肪の高い症状である高脂血症や慢性的な高血圧症は脳卒中を発生させる大きな原因です。血液の粘調度が高まり、毛細血管での血圧の流れが停滞したり、高い血圧で血管壁を損傷したりします。こうしたうっ血状態、高血圧状態を漢方薬で改善することで、血液循環がスムーズになり、組織の新陳代謝が良くなって、免疫力が高まって治癒力を上げていくのです。

こうした血流を良くして、さらに「漢方と免疫」に注目して生まれた複合漢方薬に関心が高まっています。免疫を高める生薬、血液循環を良くする生薬などを配合、処方して、脳血管の疾患を改善するのが複合漢方薬です。脳血管の疾患への基本的作用として、血中脂質の低下、血圧の調整、血管壁の強化、コレステロール代謝の調整、代謝機能の強化、知覚・神経機能の回復などがあげられています。

漢方の生薬には血行、つまり血液循環に作用するものが数多くあります。黄蓍、当帰、白朮、キレン草など多くの生薬に血管拡張作用があることが知られています。なかでも脳血管の疾患の治療に高い効果があると知られているのが「キレンソウ」という生薬です。漢方医学で降圧作用、抗血栓、循環機能の調整などお血作用(血液の流れを良くする作用)の高い生薬です。キレンソウは血圧降下、動脈硬化などの血流の障害に作用することは古くから知られています。

脳卒中(脳血管疾患)は、世界3大死因とされ、死に至らなくとも後遺症が残る確率の高い難病です。さらに治療は患者のみならず、家族にも大きな負担となっています。このため脳血管疾患の治療や予防は世界各国で重視され、西洋医学、東洋医学を問わず、日々研究が進められています。

漢方薬は、その成分が身体のすみずみまで行きわたります。西洋薬のように細胞局所に向けた治療法ではなく、身体全体にじわりじわりと作用します。副作用もなく、身体にやさしく治療することができるのです。

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