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講演会レポート―帯津三敬病院名誉院長・帯津良一先生

東京国際フォーラム会議ルームにおいて、8月27日(土)、帯津三敬病院名誉院長の帯津良一先生による「ホリスティック医療によるがん治療」をテーマに講演会が開かれました。その講演内容の概略を報告します。

講演概要

◆医療の本分とはなにか

がん治療において最も大切なことは、医師と患者さんが"戦友"となり、良好な関係を築くことです。そうすれば、患者さんの心の中が見えてくるのです。

そもそも医療の本分とは、誰もが、その生ある限り、たとえ病の中にあろうとも、医師は患者さんの人間としての尊厳を保ち続けることをサポートすることにあります。しかし現在のがん治療の現状は、治療が原因による様々な不調から、人間の尊厳を引き裂かれ、生きる希望まで失ってしまいそうです。

その人間の尊厳を引き裂く要因となるものは、

  1. 薬剤そのものに起因する抗がん化学療法
    髄抑制・脱毛・嘔吐・嘔気・食欲不振・手足のしびれ・倦 怠感・手足のひびわれの副作用
  2. 医師と患者の関係性による抗がん化学療法
    • いつまでって? そりゃ死ぬまでですよ。
    • 治すものではないですよね、延命効果だけですよね。
    • やらないなら、他所の病院に行って下さい。
  3. 手術後の医師の言葉
    いやぁ、癒着がひどい、取りきれませんでした。

このような要因で、患者さんは生きる力を失ってしまうものです。

◆ホリスティック医学によるがん治療

現在、がん治療は標準治療(手術、抗がん剤、放射線治療)だけではなく、最先端治療も次々と開発されてきています。けれども、どれもこれも「がん細胞は叩くが、正常細胞も叩く」という手荒い治療です。その結果、QOL (生活の質)が低下し、治療による人間の尊厳が引き裂かれることになります。
そこで、もっと患者さんにやさしい医療法として、人間を「身体・心・いのち」一体にして、丸ごととらえて診るホリスティック医学の治療が必要となってきます。なぜならば、がんはとても個性的な病気なので、病気の治療に西洋医学だけではなく、東洋(漢方)医学や自然治癒力を高める代替療法も取り入れて、総合的に患者さんのQOL、免疫力を高めて行きながら、がんに負けない心と、身体をつくることが、がん病に勝つカギとなります。

◆代替医療としての抗がん漢方

私がもっと身体にやさしいがん治療法がないかと、ホリスティック医学を理念とした病院を設立して間もなくのことです。漢方薬でがん治療に効果がある「天仙丸」という薬を研究開発した中国の医師がいることを知ったのです。

今から30年くらい前に天津の薬物研究所の李さんが、日本に来た時に私の病院に来て、その天仙丸の話をしたのです。それで私は、直ぐに天仙丸を治療に取り入れようと思い、李さんに頼んで2人で通化まで列車で11時間くらいかけて王振国先生を訪ねて行きました。5日間ほど滞在し、いろいろ王先生から話を聞いて、それで私も病院で使い始める事にしました。

その後、日本の雑誌に私が「どうも中国の人は、胃腸が丈夫だから良いが、日本人は天仙丸を飲むと胃腸をやられる」と書いていたのを王振国先生が読んで、共同開発者の世界総販売元中日飛達聯合有限公司の協力の元に、現在の液体タイプの天仙液を開発されました。天仙液、天仙丸は、そういう意味でも非常に懐かしいし、私のところの代替医療の中での位置取りをしています。

漢方薬は身体にやさしく作用して、免疫力を高め、QOL(生活の質)を向上させる治療法です。ですから、私の提唱するホリスティックながん治療は、人間を丸ごと捉えることです。医療の主役は科学だけではありません。免疫力や自然治癒力を高めるためには、患者さんにとってのトキメキがとても大切であると思っています。