東京国際フォーラム会議ルームにおいて、8月27日(土)、帯津三敬病院名誉院長の帯津良一先生による「ホリスティック医療によるがん治療」をテーマに講演会が開かれました。その講演内容の概略を報告します。
講師:帯津良一 先生
帯津三敬病院 名誉院長(医学博士)
東京大学医学部卒、医学博士。東京大学第三外科、都立駒込病院外科医長を経て、1982年帯津三敬病院(埼玉・川越市)開設。続いて2005年には帯津三敬塾クリニック(東京・池袋)を設立。中西医結合医療を実践し、ホリスティックなアプローチによるガン治療の草分けであり、世界的権威として知られる。西洋医学はもちろん、さまざまな治療法を実践。ホメオパシー、気功、漢方薬、鍼灸、食事療法、心理療法、健康食品などの代替医療を積極的に取り入れている。帯津三敬病院名誉院長、日本ホリスティック医学協会会長、世界医学気功学会副主席、上海中医薬大学客員教授などとして世界的に活躍中。
がん治療において最も大切なことは、医師と患者さんが"戦友"となり、良好な関係を築くことです。そうすれば、患者さんの心の中が見えてくるのです。
そもそも医療の本分とは、誰もが、その生ある限り、たとえ病の中にあろうとも、医師は患者さんの人間としての尊厳を保ち続けることをサポートすることにあります。しかし現在のがん治療の現状は、治療が原因による様々な不調から、人間の尊厳を引き裂かれ、生きる希望まで失ってしまいそうです。
その人間の尊厳を引き裂く要因となるものは、
このような要因で、患者さんは生きる力を失ってしまうものです。
現在、がん治療は標準治療(手術、抗がん剤、放射線治療)だけではなく、最先端治療も次々と開発されてきています。けれども、どれもこれも「がん細胞は叩くが、正常細胞も叩く」という手荒い治療です。その結果、QOL (生活の質)が低下し、治療による人間の尊厳が引き裂かれることになります。
そこで、もっと患者さんにやさしい医療法として、人間を「身体・心・いのち」一体にして、丸ごととらえて診るホリスティック医学の治療が必要となってきます。なぜならば、がんはとても個性的な病気なので、病気の治療に西洋医学だけではなく、東洋(漢方)医学や自然治癒力を高める代替療法も取り入れて、総合的に患者さんのQOL、免疫力を高めて行きながら、がんに負けない心と、身体をつくることが、がん病に勝つカギとなります。
私がもっと身体にやさしいがん治療法がないかと、ホリスティック医学を理念とした病院を設立して間もなくのことです。漢方薬でがん治療に効果がある「天仙丸」という薬を研究開発した中国の医師がいることを知ったのです。
今から30年くらい前に天津の薬物研究所の李さんが、日本に来た時に私の病院に来て、その天仙丸の話をしたのです。それで私は、直ぐに天仙丸を治療に取り入れようと思い、李さんに頼んで2人で通化まで列車で11時間くらいかけて王振国先生を訪ねて行きました。5日間ほど滞在し、いろいろ王先生から話を聞いて、それで私も病院で使い始める事にしました。
その後、日本の雑誌に私が「どうも中国の人は、胃腸が丈夫だから良いが、日本人は天仙丸を飲むと胃腸をやられる」と書いていたのを王振国先生が読んで、共同開発者の世界総販売元中日飛達聯合有限公司の協力の元に、現在の液体タイプの天仙液を開発されました。天仙液、天仙丸は、そういう意味でも非常に懐かしいし、私のところの代替医療の中での位置取りをしています。
漢方薬は身体にやさしく作用して、免疫力を高め、QOL(生活の質)を向上させる治療法です。ですから、私の提唱するホリスティックながん治療は、人間を丸ごと捉えることです。医療の主役は科学だけではありません。免疫力や自然治癒力を高めるためには、患者さんにとってのトキメキがとても大切であると思っています。