症状別/漢方薬ガイド
発熱

発熱のイラスト

漢方での診断と処方

漢方でいう「熱」は、必ずしも体温の上昇をともなうものではなく、熱感を訴える場合も「熱」ととらえます。逆に、体温が上昇していても、熱感をともなわずに寒がる場合は「寒」といいます。身体の表面に熱感か自覚され、体温の上昇がある場合を発熱、熱がからだの内に隠されて表面に現れることが少ない場合と体温の軽度の上昇の場合を微熟ととらえます。また、このような熱の状況に加えて、重ね着をしてもゾクゾク寒けを感じる状況を悪寒といいます。発汗の有無などにより、病気の状況を判断して、さまざまな処方を使い分けます。

よく用いられる漢方薬

【実証】

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

のぼせぎみで赤ら顔、目の充血、不眠、頭痛、動悸、いらいら、めまい、口の渇き、吐き気などがある人に用いられます。

葛根湯(かっこんとう)

自然発汗がなく、頭痛、寒け、肩・背にゾクゾクした感じをともなう人に用いられます。

白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)

高熱、のどか渇く、発汗が激しい、多尿、顔がほてる、手足の冷えなどの症状がある人に用いられます。

【虚実間証】

柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

みぞおちや脇腹付近の圧迫感や痛み(胸脇苦満)、寝汗、頭痛、吐き気などの症状がある人に用いられます。

小柴胡湯(しょうさいことう)

かぜ、熱感、寒け、みぞおちや右脇腹付近の圧迫感や痛み(胸脇苦満)、舌苔(舌の表面の白い苔)、口が苦い、悪心・嘔吐などがある人に用いられます。

【虚証】

桂枝湯(けいしとう)

かぜの初期、頭痛、悪寒、関節痛、自然発汗、体力の衰えなどをともなう人に用いられます。

香蘇散(こうそさん)

胃腸虚弱、頭痛、みぞおちのつかえ、不安、不眠、食欲不振、吐き気、胃内停水(胃のあたりをたたくとピチャピチャという振水音がする)などをともなう人に用いられます。

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

顔色が悪い、冷え、貧血、口の渇き、尿量減少、食欲不振、軟便、動悸、息切れなどの症状がある人の微熱に用いられます。

※【実証】【虚実間証】【虚証】について詳しくはこちら