骨の化石や希少動物の内臓、角からしか得られない希少な原料からつくる生薬は高価ですが、単品で使用 されることはほとんどありません。漢方薬は、いくつかの生薬と複合配合されるため、製剤単価はそう高価になり ません。
1976年に多くの漢方薬が健康保険適用となり、現在では使用頻度の高いエキス製剤や煎じ薬が「医療用漢方 製剤」として、3割の自己負担分で利用できます。
保険適応の処方であれば自己負担額は、数百円~3000円前後 (2週間分あたり)でおさまります。健康保険が使えないものでも、1日分が1000円を超えることはまずありません。
日本では、内科医の7割以上が一般医薬品とともに漢方薬を処方しています。しかし、証の診断など、漢方医学 診療に報酬が支払われるわけではなく、あくまでも、西洋医学の薬物療法の一環として認められているのです。なお、医師の処方箋がない場合でも、漢方専門の薬局で漢方薬を購入することができます。ただし、その場合は、保険が適応されませんので、全額自己負担で購入することになります。
しかし、素人判断で購入して使用することは、あまりおすすめできません。それは「証」が合わないことで、悪い結果をまねくこともあるからです。漢方専門の医療機関を受診すると、保険適応外の生薬も利用して、一人ひとりの状態に合った処方を出してもらうことができます。この場合の診療代は、保険外の自由診療になりますが、高額になることはありません。
■監修/孫苓献 広州中医薬大学中医学(漢方医学)博士 ・ アメリカ自然医学会(ANMA)
自然医学医師 ・ 台湾大学萬華医院統合医療センター顧問医師