漢方薬は天然の生薬からなるので副作用がない、と思われがちですが、それは誤りです。このことは、食べ物を例にとれば、わかりやすいでしょう。
多くの人が平気で飲む牛乳が、乳糖不耐症の人にとっては、おなかがゴロゴロする原因 となります。日本人の多くが好むそばは、そばアレルギーの人にとっては、致死的な発作の引きがねとなります。
このように身近な食品でも、特定の体質を持った人にとっては、不快な症状や危険な状態を引き起こす可能性があります。
漢方薬も、素材が天然の生薬だからといって、安心はできず、患者さんの体質によっては、危険な副作用を伴う可能性もあるのです。
漢方薬を服用中に、体調にもし異変があれば「ひょっとしたら、漢方薬が原因かも……」と疑ってみる用心深さが必要です。そうした用心さえしておけば、そう心配はないでしょう。
■監修/孫苓献 広州中医薬大学中医学(漢方医学)博士 ・ アメリカ自然医学会(ANMA)
自然医学医師 ・ 台湾大学萬華医院統合医療センター顧問医師