症状別/漢方薬ガイド
花粉症

花粉症のイラスト

漢方での診断と処方

三大症状を漢方医学的にみると、くしゃみは気逆、鼻汁と鼻閉(鼻粘膜のむくみ)は水滞と考えられ、局所的な利水作用のある小青竜湯や葛根湯加川芎辛夷が頻用されます。手足の冷えが強い場合は麻黄附子細辛湯を用います。ただし、これらの処方は麻黄成分を含むため、胃腸が虚弱な場合や高血圧、狭心症などの心臓病の人は、原則として使用できません。

また、前立腺肥大などの排尿障害がある高齢者では注意が必要で、苓甘姜味辛夏仁湯が有効なこともあります。これらが効かず、慢性鼻炎や副鼻腔炎を合併している場合には、葛根湯加川芎辛夷や辛夷清肺湯を用いることもあります。

よく用いられる漢方薬

【実証】

葛根湯(かっこんとう)

自然発汗がなく、頭痛、発熱、寒け、肩こりなどの症状がある人に用いられます。

葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)

鼻づまり、鼻汁、鼻汁がのどに回る(後鼻漏)、肩こり、頭痛、頭重などの症状がある人に用いられます。

【虚実間証】

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

水っぽいたんや鼻汁、せき、呼吸困難、尿量減少、むくみ、胃内停水などの症状がある人に用いられます。

辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)

鼻閉、鼻汁、後鼻漏、鼻のなかの乾燥・熱感などのある人に用いられます。

【虚証】

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)

微熱、寒け、頭痛、めまい、手足の冷え、全身倦怠感、せき、たんなどの症状かおる人に用いられます。

苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)

喘鳴(呼吸のたびにゼーゼーヒューヒューという)、むくみ、動悸、息切れ、胃腸虚弱、冷え、貧血などの症状がある人に用いられます。

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