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中西医結合医療から生まれた抗がん漢方

■長い歴史と経験・臨床医療が漢方医学

漢方医学(中国では「中医学」と呼ぶ)では、がんという病気のことを、古くから伝えていました。いまでも「癌」という文字を用いていますが、病気を意味する疒(やまいだれ)の中に、昔の字体で「岩」や「固まり」を意味する文字「嵒」が入っています。つまり、がんは岩のような固まりのできる病気という考え方だったのです。実際に漢方医学の古典書として有名な『黄帝内経素問』などには、そのような記述が記されています。

生薬を配合、処方してつくられたものが漢方薬です。生薬とは、薬用にする目的で自然界にある天然の薬効成分のある植物の根や茎、葉、樹皮、果実、花、種などを加工したものが中心となっています。このほかに動物の皮とか骨、キノコ類、昆虫類、貝殻、鉱物なども利用されています。

▲漢方医学の古典書『黄帝内経素問』

▲複数の生薬が配合、処方され漢方薬となる

生薬は単独で使うことはほとんどなく、2種類以上が配合、処方されます。漢方薬は、身体に穏やかに作用して、じっくりと効果を発揮するものが多く、副作用が少ないのが特徴ですが、生薬を適正に配合、処方をすることで、劇的な効果が生じる漢方薬も生まれます。これが漢方薬の特性であり、不思議な効果で、複合作用や相乗効果と言われるものです。

病気、症状に対してどの生薬を選ぶか、どの生薬をどのように配合、処方するかを決めて、作用、効果を高めたり、副作用を少なくする作業を繰り返すことで、複合漢方薬がつくられていくのです。ですから、「漢方の名医」は「配合、処方の名人」とも言われるのです。今日まで伝えられている漢方薬の多くは、名人たちがつくりあげた漢方の中で効果があるものだからこそ、長い歴史の中で漢方医学として伝え続けられてきているはずです。いわば漢方薬は、人を対象として臨床と経験を踏まえているわけで、西洋医学的に表現すれば、膨大な症例報告に基づき、経験的につくり出した医療が、漢方医学であると言えるでしょう。

■天然生薬だけを配合、処方した抗がん漢方

今日でも中国では、漢方薬づくりの作業が続けられており、古くから伝わる漢方薬が改良されたり、近年、中国政府も漢方薬に力を注ぎ、新しい漢方薬も生まれてきています。26年ほど前に、医学研究員であった王振国医師(現在、北京・上海・珠海・通化振国中西医結合腫瘍病院院長)が研究開発して、中国国家重点科学技術研究項目に入り、中国政府から初めて、医薬品の抗がん漢方薬として認可された天仙丸もその一つです。

その後、さらに製薬企業の中日飛逹聯合有限公司(本社・香港)との共同研究により、生薬成分を見直し、新たに加えて、最新技術で改良、進化されて、24年ほど前に液体化になったのが抗がん漢方薬の天仙液です。"薬草の宝庫"として有名な長白山から採取された薬草から作られた生薬が中心で、冬虫夏草、霊芝、人参(朝鮮人参)、黄蓍 、枸杞子、白朮、甘草、半枝蓮、白花蛇舌草、莪朮、女貞子、珍珠、天花粉、青黛、猪苓などの生薬が配合、処方されている複合漢方薬です。