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三好立先生
鈴木徹也先生

三好立医師
1966年3月、福岡生まれ。1992年、産業医科大学卒業。 東京医療センター、亀田総合病院を経て1999年、癌研究会付属病院へ。 故土屋繁裕に出会い「ガン治療の考え方」に感銘を受ける。 2003年から福岡大学呼吸器外科、2006年、故土屋繁裕が設立した日本で初めての ガン専門相談所「キャンサーフリートピア」代表医師に就任。2007年、銀座並木通りクリニック設立。

「中国漢方ガン治療」

ガン治療専門医の三好立医師(銀座並木通りクリニック院長・キャンサーフリートピア代表医師)は、 亀田総合病院、癌研究会附属病院、福岡大学病院などで外科医として一線で活躍していました。2006年、 ドクハラという言葉の生みの親である故・土屋繁裕医師の後を継いでキャンサーフリートピア2代目代表医師に就任しました。 土屋医師が生前に漢方療法を実践されていたことから、三好医師も抗ガン漢方医療に少なからず興味をお持ちでした。今回、 中国(漢方)医学に西洋医学を取り入れた「中西医結合医療」でガン治療を実践している中国・珠海市の病院と漢方研究開発の最前線にあるマカオ技術大学付属科大学病院を訪れ、 “漢方の本場”を見てきました。三好医師にその見聞・体験をリポートして頂きました。

ガン治療に漢方薬

我々日本の医師、特に西洋医学を中心に学んできた医師は、抗ガン漢方について殆どなじみがありません。日本の医療の現場では ガン治療に漢方薬を補助的に使用することはあるものの、「抗ガン漢方」として治療の中心に据えることは殆どありません。そ れは、日本では西洋医学が明治維新とともに国の医療の要として採用されたのが大きな理由です。

今でも日本の医療・医学教育は西洋医学中心のため、一般に日本の医学教育を受けた医師は、漢方医学に明るくありません。ま してや、手術、化学療法、放射線治療を中心とした標準治療でガン治療にあたっているガン治療専門医にとって、漢方による ガン治療となると、「へぇ~、中国には漢方のガン治療があるんだ・・・」、くらいの認識が一般的です。私はここで西洋医学の方がいいとか、漢方医学が優れているとかの議論をするつもりは全くありません。いろんな選択肢の中で、患者さんは「いいとこ 取り」をして、ご自分の治療・健康維持などに取り入れていけばいいのです。

さて、そういった日本での一般認識の中、今回、その漢方薬の本場・中国を訪れる機会を得ました。中国はお隣の国でありながら、 実際にどの様なガン治療が行われているのか、日本にいるときは全く情報がありませんでした。それを今回、香港からフェリーで30分ほどの珠海市にあるガン治療専門の振国腫瘍病院を見学させていただく幸運に恵まれました。国が変わり、ガン治療の方法論が違っても、ガンを治したい、ガンと上手くつき合っていきたいといった目的は皆同じはずです。山の頂上を目指すのに、必ずしも道は1つではない というだけの話です。何よりも、ガン治療の選択肢が増えることはいいことです。私の見聞してきた中国でのガン治療をご紹介したいと 思います。

院長の王振国先生は、とても気さくでおおらかで活力に満ちた方です。また、良い臨床家というのは眼差しに現れるように思うことがあるのですが、 患者さんに接する時の目はとても優しく、慈愛に満ちていたのが印象的でした。中国では立派な人物を「大人(たいじん)」と呼ぶそう ですが、まさにそういった人物の印象です。その王振国先生自らが院内を案内してくださいました。感激です。

病院は潮風の気持ちのいい海沿いに位置し、とても風光明媚な場所にあります。ガンに限らず、病気を治療したり療養生活をおくる 環境の雰囲気というのはとても大切です。同じ治療をするにも、気持ちが落ち着き安らげる環境にあることは病と闘っていく大切な 要素のひとつです。病室はミルクホワイトを基調とした清潔感のある色調からなり、家族で滞在できるようとてもゆとりを持って造られて いました。病室の窓は大きく、開放的で柔らかな光が病室に満ちあふれています。窓を開けると海からの柔らかい暖かな潮風が病室を 駆け抜けます。とても爽やかで気持ちが良く、リゾート地のコンドミニアムに滞在している気分です。洗髪専用室や浴室(漢方風呂)、 マッサージルームなども完備しており、いままで、たくさんの病院を見てきましたが、ここなら自分も入院してみたい、と思う病院の ひとつです。
  振国腫瘍病院
▲珠海市の振国腫瘍病院を訪ねた三好先生(左)と王振国院長
   
日本から来た患者
▲日本から来た入院患者の人の話を熱心に聞く三好先生
 
ガン細胞のアポトーシス

振国腫瘍病院では、抗ガン漢方薬を中心として、漢方薬の点滴や座薬、漢方医学だけにこだわらず、必要に応じて西洋の抗ガン剤 (私が見学したときには5-FU を使用していました)や放射線治療、動脈塞栓術といった西洋医学の治療も併用されます。 西洋、東洋といった垣根を取り払って、とにかく良いモノ、患者さんのためになるものは何でも取り入れよう、という治療 コンセプトです。

今回、日本人のガン患者の人が治療を受けられていました。息子さんが中国で仕事をしている関係から、ご本人を日本から呼び 寄せて治療しているとのことでした。病名は進行胆管癌で、入院当初は歩くこともできなかったとのことですが、1ヶ月程で散歩に出歩けるようになるまで体力が回復し、病状も安定したとお聞きしました。息子さんのそばで治療が受けられること、中国 に来て治療できたことをとても喜んでおられたのがとても印象的でした。

さて、今回拝見した振国腫瘍病院での漢方薬の点滴などの治療は法律上の問題から日本国内での実践は困難です。しかしながら、実際に病状が回復し、元気なお顔を見せる患者さんを見ると、漢方を中心としたガン治療も治療の選択肢として十分ありだと感じました。

  入院患者
▲入院患者の人たちがみんな明るく、元気なのにビックリ・・・
 
案内される三好先生
▲王院長から病院の内部を案内される三好先生
大学病院でも漢方薬
翌日、珠海の隣にあるマカオに行き、マカオ技術大学附属科大病院を見学しました。 この大学病院では西洋医学に漢方医学を取り入れた中西医結合医療を積極的に実践しており、抗ガン漢方薬の臨床試験も行っているとのことです。 西洋医学の科学的検証法にそった臨床研究が行われている最中とのこと、その成果の報告が待たれます。

マカオ技術大学附属科大病院は緑を基調とした建物と、広い敷地が印象的です。本来、緑という色は癒しの色とも言われており、 敷地内の芝生の緑と合わさり、病院の周りを散歩するだけでも病気がどっかに行ってしまいそうです。病院そのものはマカオ市の 総合病院として機能しています。飛行場と病院敷地が隣接しているため、セレブ階級の患者の人は自家用飛行機で来院することも 可能だとか。また、カジノもすぐそばにあるため「遊び」による楽しみで免疫力を高めながら治療を進めることができそうです。 ただし、この大学だと、お勉強はできそうにありません。あまりにも遊びの誘惑が多すぎます(笑)。

さて、最後に私の治療に対しての考えを簡単に。 現在、日本では年間約60万人のガン患者さんが発症しています。手術・抗ガン剤・放射線治療を中心とした標準治療が日本では主流ですが、患者さんのニーズは多様です。その中で、患者さんの要望・ニーズに合わせて、中国医学、漢方薬を利用することはとても いいことだと思います。医療の目的は「良い時間を一番長く」です。そのために、身体にいいことはどんどん実践・取り入れると いいでしょう。

三好立先生
鈴木徹也先生
  三好先生一行
▲マカオ技術大学附属科大病院の前での三好先生一行
  研究員
▲漢方生薬の研究所のある科大病院の研究員(中央)と三好先生
中西医結合医療
▲科大病院では漢方薬を取り入れた中西医結合医療を実践
 

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