薬膳とは中医(漢方)栄養学を基礎に生まれた食文化で、個人の体質や体調、季節などに合わせて食物の特性を生かし、組み合わせを考えて調査する伝統的な食事のことです。
そして「漢方薬膳」とはその名の通り、薬膳に漢方生薬を加えた料理で、女性に多く「症状別/漢方薬膳レシピ」を紹介します。
4種類もの薬膳を使った、「薬膳ティー」をご紹介します。 頭痛の他にも冷え性・花粉症予防・ストレス解消・むくみ改善・疲労回復・肥満防止・血圧調整・老化防止・ 風邪予防・お通じに効果を期待できます。
①:急須に茶葉大さじ1~2杯を入れ、熱湯を注ぎ1~2分蒸らしてから飲みます。 ②:やかんに沸騰した熱湯6カップ(やかんに半分程)に、茶葉大さじ2~3を入れ静かに煮返る火加減で2分煮だし、こしてポットに移します。
●蘇葉(そよう) シソ科のチリメンジソの葉を乾燥したものです。 茎は「蘇梗」(そこう)、種子は「蘇子」(そし)といいます。 食味=辛 食性=温 用途: 血行促進・発汗・鎮咳・鎮痛作用・魚肉の解毒作用があります。 また香り成分のペリルアルデヒドには安眠効果があります。
●菊花(きくか) キク科のキクの頭状花 食味=甘 食性=平 用途: 解熱・頭痛鎮静作用・血圧降下作用・動脈硬化症・高コレステロール症に良いです。
●決明子(けつめいし) マメ科のハブソウの類の種子で、日本産はエビスグサの種子。 ともにアバ茶として茶の代用とします。 食味=甘・苦 食性=寒 用途:強壮・利尿・便秘・疲れ目・目の充血に良いです。 血圧降下・コレステロール低下に効果があります。
●枸杞子(くこし) ナス科のクコおよびナガバクコの成熟果実 食味=甘 食性=平 用途:強壮薬として疲労・無気力・頭痛などに用い、目の疲労に良いです。 ベータカロチン、ビタミンB・C群や鉄・マグネシウム・亜鉛など15種類以上の微量元素を含みこれらの成分が肝臓の働きを高めます。
東洋医学では目と肝は密接なつながりがあると考えられています。 クコの実、菊花に含まれるビタミンB・C・E群等の豊富な抗酸化ビタミン類やシソの血行促進 作用により肝機能を整え、目力アップに効果的です。
南瓜餅に使用するかぼちゃは胃腸を活発化させ、栄養も豊富な食材です。かぼちゃと合わせる松の実・落花生・クルミ との相互効果で便通を良くして新陳代謝を促進させます。
①:かぼちゃの皮を剥き、種を取り除き、薄く切って容器に入れ、蓋をしてレンジで7分間加熱します。 ②:①を金属製の笊などで裏ごししてペースト状にします。 ③:白玉粉を150mlの水で溶き、②のかぼちゃと混ぜ、耳たぶ程の固さになるまで練り合わせます。 ④:松の実・落花生・クルミ・黒胡麻・白胡麻はフードプロセッサーで細かく砕き、小豆餡と混ぜ合わせておきます。 ⑤:両手を水で濡らし、③を卵くらいの大きさに取り、④の餡を中に詰めて軽く抑えながら 丸く形を整えます。 ⑥:⑤の両面に胡麻油を薄く塗り、オーブンで15分焼きます。途中、両面が均等に焼けるよう注意し、裏返します。
●松の実 脂肪、ミネラル、ビタミンB1・B2・B6・E、食物繊維が豊富です。脂肪は、不飽和脂肪酸なので、抗コレステロール作用があり、動脈硬化を予防する働きがあります。 ビタミンは、美肌つくりに有効な成分で、特にビタミンB6は、タンパク質を代謝するのに欠かせないもので、免疫機構を正常に維持するのに大切な栄養素です。ビタミンEは、抗酸化作用で老化を防げます。消化も大変よく、便秘解消にも効果があります。
●落花生 落花生には、不飽和脂肪酸であるオレイン酸・リノール酸が豊富に含まれおり、これらの脂肪酸は、コレステロールを抑制する作用があり、肥満の防止に役立つ成分です。 また、腸内の善玉菌であるビフィズス菌を増やすオリゴ糖や、便通を促し、血糖値の上昇を抑える働きがある食物繊維など、がん・動脈硬化・糖尿病などの生活習慣病を予防する成分が豊富に含まれています。 また落花生は、「抗酸化ビタミン」 「若返りビタミン」とも呼ばれるビタミンEが豊富で、美肌効果や老化防止に効果的です。子供の成長に欠かせないビタミンB1、アルコールの代謝促進に効果的な働きをするナイアシンなど、落花生はビタミン類も豊富に含んでいます。
●クルミ 高脂肪、高たんぱくな食べ物。ビタミンB1、ミネラル類も含みます。 くるみに含まれる、脂肪類は、良質な必須脂肪酸類をたくさん含んでいます。その中のリノール酸は、成長促進、動脈硬化を予防するなどの作用があり、肥満、コレステロールの多い人に適しています。 ビタミンB1は、疲労回復に良いです。
かぼちゃは胃腸の働きを活発させる、栄養豊かな食材です。 糖尿病や高血圧、肝臓疾患の予防や治療に効果があり、特に便通を良くして結腸癌の 予防に有効です。 この薬膳では松の実・落花生・クルミと組み合わせることで、血糖値や中性脂肪を抑える 効果を高めます。 しかしそれだけでなく、便通を良くして腸内の老廃物を取り除き、新陳代謝を促進させる 効果を強めています。 糖尿病や高脂血症患者の治療補助薬膳としても役立っています。
今回のブロッコリーの蟹餡かけは女性の大敵、生理痛によく効き、肌の老化防止・白髪予防にもなるといわれている薬膳です。 ブロッコリーは甘草・阿膠を含んだ漢方ストックで茹でますので、薬効も満点です。 またカニ缶には亜鉛・銅・たんぱく質、ビタミンEが多く含まれています。
①:ブロッコリーは花の部分を一口大に、茎の部分は薄切りにして、水洗いします。 ②:薄切りにしたにんにく・生姜を熱した油に入れ、低温で十分に香りとエキスを油 に引き出し、取り出します。 ③:②の鍋に(A)とブロッコリーを入れて煮、ブロッコリーが柔らかくなったら汁は捨ててしまいます。 ④:ブロッコリーの鍋に(B)を加えて味を整え、斜めざく切りにした長ねぎ、ほぐしたカニを加え、さらに胡麻油を落とし、最後に水溶き片栗粉でとろみをつけて仕上げます。 ブロッコリーは身のしまった、重みのあるものを選びます。 強火でできるだけすばやく火を通すのが、形をくずさず、うま味をにがさないコツ。にんにく・生姜のエキスを出すには、低い温度でじっくりと焦がす。
●甘草 マメ科カンゾウまたは同属植物の根でできる生薬として、漢方では緩和作用・止渇作用があると されています。主成分は甘サポニンのグリチルリチン、その他フラボノイドなどで各種の生薬を緩和・調和する目的で多数の漢方方剤に配合されています。 漢方ではもっとも基本的な薬草の一つと考えられており、甘草だけで甘草湯という処方もあり(漢方で生薬を単独で使うのは稀)、喉の痛みや、咳を鎮める効果があるとされます。 その他、鎮静、鎮痙、鎮咳、抗消化性腫瘍、胆汁排泄促進、慣性肝炎、抗炎症、抗アレルギー、ステロイドホルモン様作用などの効能があります。
●阿膠 ロバの皮、その他の動物の皮、骨、腱などを煮て精製したものでゼラチン、コラーゲン、カルシウムなどを含んでいます。 各種虚性の出血(吐血、咳血、便血、尿血、妊娠期下血、崩漏など)、熱と脱水による心煩不眠などに用いられます。 その他、生理痛・貧血・生理障害・肝臓病・血液凝固作用、出血、吐血、下血、お血症・鎮痛・肌の老化防止。
女性にとって辛い生理痛をはじめ、神経痛・腰痛などの痛み防止・鎮静・美肌・腎臓病・ 肝臓障害・若白髪防止など様々な効果を期待できます。 今回のように漢方ストック野菜を茹でることによって高い薬効を期待できますので、様々な野菜で試してみてください。 甘草のグリチルリチン・フラボノイド、阿膠のゼラチン・コラーゲンの組み合わせはあな どることができません。