漢方医学の証の見立てには、「望診(ぼうしん)、聞診(ぶんしん)、問診(もんしん)、切診(せつしん)」の四診が重視されます。
望診は患者さんの体型、顔色、表情、動作、舌の状態などを目で見る診察、聞診は話し声やせきの状態などを耳で聞く診察とにおいをかぐ診察です。問診では、西洋医学でも用いる問診表に、体質傾向や症状のこまかな項目をつけ加え、患者さんに記入していただきます。最後に切診ですが、これは脈をとる脈診と、おなかをさわる腹診が代表的なものです。
頭痛を訴えて来た患者さんに腹診を行うとケースがあります。西洋医学では頭痛と腹部の所見の間に関連性を認めておらず、西洋医学の常識に慣れきっている私たちにとっては、疑問に思われるでしょう。
けれども、漢方医学では、頭痛に処方される五苓散(ごれいさん)などは心窩部振水音(しんかぶしんすいおん)のあるときに適した薬とされ、腹診は診断に重要な情報を与えてくれるものなのです。
こうした漢方医学に基づいた漢方薬の処方例については、
「症状・病気別/主な漢方薬事典・漢方薬ガイド」をご覧下さい。
■監修/孫苓献 広州中医薬大学中医学(漢方医学)博士 ・ アメリカ自然医学会(ANMA)
自然医学医師 ・ 台湾大学萬華医院統合医療センター顧問医師