すぐに役立つ漢方の知恵 漢方入門講座10

「気・血・水」がスムーズに流れているのが健康な状態

「気・血・水」とは、体内をめぐって流れている三つの要素で、血は医学でいう血液に、水は血液以外の体液に相当し、気は漢方医学では生命のエネルギーのようなものと考えています。「気疲れがする」「根気がつづかない」「気力が出ない」「元気がない」などというように、生命の源として、気の存在をイメージしているものです。

漢方医学では、この気血水が過不足なく、体内をスムーズに流れ、循環している状態が健康とされます。もしどれかに異常が起こると他にも異常が及びますが、証を決める際には、主な原因がどれであるかを推定します。

気の異常には、気が上半身に偏る「上衝」(じょうしょう)、気の流れが滞る「気鬱」(きうつ)、気が不足する「気虚」(ききょ)などがあります。たとえば足が冷えるのに顔はのぼせる冷えのぼせや、動悸、頭痛などの症状があらわれたときは、気の上衝を疑います。

血の異常には、血の流れが滞る「瘀血」(おけつ)、血が不足する「血虚」(けっきょ)などがあります。瘀血は、女性が悩む生理痛・生理不順、冷え、肩こりなど多くの症状 の原因です。水の異常には、水の過不足や体内での分布異常を「水毒」と呼び、むくみやめまいの原因とされます。

漢方医学ではこうして証を決め、異なる漢方薬を処方します。また、病名の違う患者さんでも、同じ証とみなされれば、同じ漢方薬が処方されることになります。

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■監修/孫苓献 広州中医薬大学中医学(漢方医学)博士 ・ アメリカ自然医学会(ANMA)
自然医学医師 ・ 台湾大学萬華医院統合医療センター顧問医師