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病気について学ぶ
動脈硬化症

動脈硬化症は、加齢とともに徐々に進行していきます。けれども、これにいろいろな要因が加わり進行が早まりますと、脳卒中や心筋梗塞、狭心症などの病気を引き起こす原因となります。そこで、動脈硬化症はどんな病気か、予防法、治癒法まで紹介します。

 
矢印 動脈硬化とはどんな病気か
矢印 動脈硬化症の原因と症状
矢印 動脈硬化症の危険因子
矢印 動脈硬化症の治癒法
矢印 動脈硬化症の予防法

 

動脈硬化の危険因子
動脈硬化の危険因子 動脈の硬化は、年を追うごとに誰にでも多少は起こるものです。しかし、その進行を早める要因を排除することが予防につながるので、大切といえるでしょう。では、その危険な要因、危険因子と呼ばれるものが何なのか挙げてみましょう。
アイコン 高血圧症

高血圧症が存在すると、動脈壁に絶えず高い圧力がかかり、内膜が傷つきます。そしてそれが治り、再び傷つきくといったことを繰り返すことで粥腫(アテローム)ができやすくなります。また、細動脈が痙攣収縮するために小動脈瘤ができてきます。

アイコン コレステロール
自転車のチューブが時間とともに脆くなるのと同様に、血管もその弾力性を失います。そんな血液が通りにくくなった血管に、無理にでも血液を送り込もうと心臓の収縮率が高まり、血圧が上昇します。
アイコン 中性脂肪(高トリグリセライド血症)

高トリグリセライド血症の人は、動脈硬化を予防するHDLコレステロールの値が低いことだけでなく、糖尿病や肥満を合併したり、尿酸値が高くなっています。つまり、動脈硬化を発生、進行させる危険因子が加わりやすいのです。

アイコン 糖尿病

血液中の中性脂肪やコレステロールの値が高い人が多く、とくに動脈硬化を予防するHDLコレステロールの値が低いことが挙げられます。また血糖値が高いために血液の粘度が高く、血栓を生じやすいことなど、さまざまな因子を含んでいる怖い病気です。

アイコン 喫煙
ニコチンが血小板を凝集させ、動脈の中膜を増殖させたり、血管壁に血液中の脂肪が沈着しやすくなる影響があります。また、HDLコレステロール値を低下させる、血液の粘度を高めて固まりやすくする、さらに血管を収縮させて脈拍数を増やしたり、血圧を上昇させるなどの悪影響があります。
アイコン ストレス・性格

ストレスが続くと、動脈硬化の危険因子となる高血圧症や、高脂血症、糖尿病を誘発する恐れがあります。また、血液が固まりやすくなり、血栓ができやすくなります。 攻撃性の強い性格の人などは、穏和な性格の人に比べてストレスを受けやすく、血圧が上がり、糖尿病、高脂血症などを悪化させます。さらに、狭心症の発生率も穏和な人に比べて7倍も高いといわれています。

アイコン 運動不足

運動不足が続くと血液中の中性脂肪の値が高くなり、動脈硬化を予防するHDLコレステロールの値が低くなるほか、肥満を助長し、動脈硬化を発生、進行させます。

アイコン アルコール・砂糖
日本酒にして1日1合程度の晩酌であれば、HDLコレステロールの値を高めますが、多量の飲酒は中性脂肪の値を高め、脳卒中の発生率も高くなります。また、砂糖も1日30g以上摂取すると中性脂肪が高くなります。
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動脈硬化症の治療法
動脈硬化は年齢を重ねるごとに進行していきます。この進行を遅らせることが予防であり、治療でもあります。そして大切なのは、動脈硬化を進行させる要因、危険因子を排除していくことです。危険因子の数が多ければ多いほど、また期間が長いほど、脳卒中や心筋梗塞などの合併症を起こす危険性が高くなります。 まず生活習慣を改善することによって、危険因子をひとつずつ減らしていくことが重要です。では、何をどのようにして減らすのかを以下に説明していきましょう。
アイコン 食事療法

もし肥満体の人であれば1日のカロリー摂取量に注意して、食べ過ぎないようにすることが大切です。肥満は動脈硬化の危険因子であると同時に、高血圧症や高脂血症、糖尿病の危険因子でもありますから注意が必要です。逆にいえば標準体重に戻すことができたなら、それらの病気を解消できる場合も少なくありません。

腎機能が低下していない限り、タンパク質をとりましょう。大豆などの植物性タンパク質に含まれるアルギニンや、白身の魚に含まれるタウリンという物質は、動脈硬化を予防する効果があるといわれています。
動物性脂肪を含む食品を多く食べるとLDLコレステロールが増えます。これは粥状動脈硬化症に大きく関っていますので、卵やレバー、生クリームやバターを食べ過ぎないようにしましょう。
肉の脂身やバター、生クリームには動脈硬化を促進する飽和脂肪酸が多く含まれているので、逆に不飽和脂肪酸を多く含む植物油や、魚の脂肪を比較的多くとるようにしましょう。しかし、不飽和脂肪酸のとり過ぎも逆によくないので、注意が必要です。

ニシンやイワシ、サバなどに含まれる多価不飽和脂肪酸は、中性脂肪やコレステロールを低下させる働きがあるうえ、血小板の働きを抑えて、血液が固まりにくくすることもわかっています。

食物繊維は小腸でのLDLコレステロールの吸収を阻害し、排出する働きがあります。ミカンを薄皮ごと食べたり、ゴボウなどセルロースの多い野菜類、またペクチンやリグニンなどを含む海藻類、さらにはキノコ類などを十分にとるようにしましょう。

糖分のとり過ぎもよくありません。1日30g以上をとると中性脂肪が高くなり、動脈硬化を予防するHDLコレステロールが低下してしまいます。また果物は身体にいいとされていますが、意外に果糖が多いので注意が必要です。

塩分のとり過ぎは血圧を上昇させて細動脈硬化を招くほか、脳出血や胃ガン、腎臓病などを起こしやすくします。麺類のスープや、漬け物を残すようにするなど心がけ、塩分の摂取量を控えるようにしましょう。

適量の飲酒はHDLコレステロールを増やし、動脈硬化の予防にもなりますが、高血圧症や細動脈硬化の人が深酒を続けると脳卒中を起こしやすくなりますから、飲み過ぎに注意しましょう。日本酒なら1日1合、ビールなら1本、ウィスキーならダブル1杯程度を、タンパク質を中心としたつまみを食べながら飲むことをおすすめします。

アイコン 運動
適度な運動は血管を新生する刺激にもなり、HDLコレステロールを増加させ、動脈硬化そのものの予防はもちろん、動脈硬化の危険な要因である高血圧、糖尿病、高脂血症などの病気の予防にもなります。 食前の運動は食欲を増進し肥満の原因にもなるので、食後20分~1時間後に、1分間に80~100mのペースで30分ほどのウォーキングなどがいいでしょう。 しかし、寒い日の早朝などは血圧を上昇させますので、狭心症や心筋梗塞、脳卒中の危険があるほど動脈硬化が進行している人は、医師の指示に従って運動をしましょう。
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動脈硬化症の予防法

動脈硬化の危険因子は様々ありますが、そのなかでも大きな影響を及ぼしているのが活性酸素とLDLコレステロール、いわゆる悪玉コレステロールです。これらふたつが結びつくことによりって悪玉コレステロールが酸化し、動脈硬化を助長する結果を招きます。そこで、これらが結びつくことを妨げられれば、動脈硬化の予防に繋がります。 つまり、活性酸素と悪玉コレステロールが結びつく前に、活性酸素と結びつく成分があればいいのです、その役割を果たしてくれるのがポリフェノールです。

アイコン ポリフェノール

花びら、果実の皮や種、茎など、光合成を行う植物に存在します。ポリフェノールは種々様々な色彩の花びらを作る成分であり、昆虫などの外敵によって分泌された毒を無毒化させる抗酸化物質です。 ポリフェノールとは、化学構造中にフェノール水酸基が3個以上含まれる物質の総称で、約4000種類あります。では、代表的なポリフェノールがどんな食品に含まれているかをみてみましょう。

フラボノイド :緑茶、ブドウ、ナス、ソバ
カテキン :緑茶
タンニン :カキ、緑茶、赤ワイン
ケルセチン :赤ワイン、ココア、タマネギ、ブロッコリー
アントシアニン :ブルーベリー、イチゴ、ナス
イソフラボン :大豆、そら豆などの豆類

赤ワインをよく飲んでいる欧州の人たちは喫煙率も高く、また肉やバターなどの動物性脂肪をたくさんとるので、動脈硬化を誘発させる因子が高いことがわかります。しかし、アメリカなどに比べると動脈硬化が進行した脳卒中や心筋梗塞の割合がはるかに少ないデータがあります。日本人も緑茶を多く飲んでいますが、脳卒中や心筋梗塞などは赤ワインを飲んでいる地域の人々に比べるとまだまだ多いのが現状です。それはなぜでしょうか?じつは、赤ワインには緑茶の4倍もの抗酸化作用があるからなのです。

※注意

ポリフェノールの摂取に関して、赤ワインからとるのも有効だといえますが、健康保持のためであれば、まずは広く野菜類からとるのがいちばんだといえるでしょう。また、アルコールの取りすぎは禁物で、1日ワイングラス2杯程度が適量です。実際、フランス人には動脈硬化は少ないですが、肝硬変、膵臓病での死亡率が世界でもっとも高いので、赤ワインがお好きな方は十分ご注意を。
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