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日本の大学病院、医師にも取入れられている漢方

■生薬や漢方薬のエビデンス(科学的根拠)を研究

がん治療における標準治療の問題点などを踏まえて、代替医療が研究され、大学病院などでも実践されているケースも見られます。なかでも注目されているのが、副作用が少ないとされる漢方療法です。

アメリカ医学界のがん治療に関する考え方も、変化が生じているようです。一つのケースを紹介しますと、ニューヨークのメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターは、ベッド数が5000もある全米で有数ながん専門病院です。これまで3年連続でアメリカ第1位の病院に選ばれています。この病院では漢方薬によるがん治療もおこなわれているということで、さらに入院患者に鍼炙、気功などを取り入れた漢方療法も行っているとのことです。

▲『漢方薬使用実感・意識調査』
―日経メディカルオンライン調べ

とはいえ、これまで漢方薬というと、「科学的に立証されていない」「エビデンスがない」として、医師や医療現場で敬遠されている理由の一つでした。けれども近年、漢方薬が見直されています。
その大きな理由として、生薬や漢方薬が研究され、エビデンスも相次いでおり、医療現場でも実際に治療として用いられるようになったことです。すでに病院で保険適用されている漢方薬もあり、大学病院でも、漢方の研究や漢方外来の科目を設けているところがあります。例えば、慶應義塾大学病院の漢方クリニック、埼玉医科大学病院の東洋医学診療科をはじめ、北里大学病院、順天堂大学医学部付属順天堂医院、東京慈恵会医科大学付属病院などです。

漢方薬が医師、医療現場で使われていることを示すデータもあります。日本経済新聞社の日経メディカルオンラインに登録されている医師を対象に、『漢方薬使用実態・意識調査』というのが行われました。それによると、疾患によって80.3%の医師が漢方薬を処方しているということです。そのうち使用動機(複数回答)として、「西洋薬のみでは限界がある」51.1%、「漢方のエビデンスが相次いでいる」34.6%、「患者からの強い要望」24.6%などとなっており、漢方薬を処方している医師の70%が「使用してよかった」と評価していました。