人間の身体には数十兆もの細胞が存在します。一部の細胞を除いて、その数が変わることはありません。新陳代謝を繰り返しているだけなのです。一つの細胞が死ぬと新しい細胞が一つ生まれるというように、ルールによって分裂、増殖を行っているために異常な増殖など起こさないのです。
ところが、ある一つの細胞遺伝子に傷つけられると、突然異常な増殖を始めます。これがガンです(ガンを発生させる誘因としていろいろな説が挙げられています)。ガンは身体の調和を無視し、無秩序に分裂、増殖を繰り返して新しい組織、腫瘍を作り出します。この腫瘍は良性と悪性とに区別されます。良性の腫瘍は比較的その分裂速度が遅く、ほかの組織や臓器を侵したりすることはまずありません。手術などによって簡単に除去することができるイボのようなものです。しかし悪性の腫瘍は分裂速度が速く、周囲の組織、臓器をたちまち侵し始めます。しかも簡単に血管やリンパ管を通って最初に発生した場所から離れた所に転移し増殖を始めます。この結果、身体のいたるところにガンが広がってしまうのです。
ガン細胞は、自らを成長させるため新しい血管を作り、栄養や酸素などを奪い取っていきます。その分だけ周囲の組織は栄養や酸素が行きわたらなくなり、弱っていくことになるのです。日本ではガンでの死亡者数がいちばん多く、社会的にも問題となっています。 |