脳卒中(脳血管疾患)は循環器の病気の一種です。日本人の死因ではガン、心臓病(心疾患)に次いで第3位となっていますが、命をとりとめたとしても、多くは手足のマヒ、言語障害などの後遺症が残り、寝たきりになるケースも多くあります。
ここでは、脳卒中(脳梗塞、くも膜下出血、脳出血など)の症状、治療、予防や後遺症についてお役に立つ情報を紹介します。
何よりもまず、血圧です。最近では、病院以外のさまざまな施設でも自動の血圧測定器を見かけます。また個人で購入する人も増えているようです。日頃から意識して血圧をチェックし、自身の平均血圧を把握するよう心がけましょう。それが基礎疾患の管理につながります。
寒い時期の発症率は、暑い時期の1.5倍になります。暖かい場所から急激に寒いところへ移動すると、心臓の負担になるか、または血圧が急上昇し脳卒中を引き起こす場合があるからです。冬のあいだは廊下や夜間のトイレ、お風呂の脱衣所などはできるだけ小さな暖房器具などで暖かくするようにしましょう。
いやな物事に直面したとき、人間は本能的に逃げるか、もしくは戦うかを判断します。そのとき脈拍が速くなり、血管が収縮して血圧が上昇します。精神的緊張や不安が持続すると、この一連の反応も慢性化し、循環器に負担をかけます。入浴や音楽鑑賞など、自分なりのリラックス方法を見つけることが大切です。また次のような人は要注意です。(1) 優等生タイプ (2) 落ち込みタイプ (3) 無気力、無関心タイプ
2002年度の統計(厚生労働省)によると、過労により脳疾患や心臓疾患を起こした人は、死亡者を含め合計317人(前年143人)で過去最高となったようです。そのなかには高血圧症などの既往症のある人が多いようです。肉体的過労やストレスからくる心労は、自分でうまくコントロールする必要があるでしょう。
トイレは温度差にも注意が必要ですが、排便時の「りきみ」で血圧が上昇します。特にクモ膜下出血の18%は用便中に起きています(※)。トイレの工夫として、 (1)暖かい服装で行く (2)トイレを暖かくする (3)りきみ過ぎない (4)外から開けられる外開きドア (5)洋式便座 (6)手すりを取り付ける (7)非常用ブザーを取り付ける
※堀 智勝 『「くも膜下出血」のすべて』 小学館<小学館101新書> 参照。
最も注意すべきは塩分です。塩分は腎臓から排泄されますが、過剰に摂取すると血液中のナトリウムの濃度が上がります。するとその濃度を下げようと血液中に水分が増えて血液量が多くなり、血圧が高くなります。現在、わたしたちは1日に約15gの食塩をとっていますが、実際は10g程度、高血圧の人は7gが理想です。以下を参考にしてください。
お酒は適度な量であれば血圧を下げ、動脈硬化を防ぐ効果があるといわれています。逆に飲みすぎると動脈硬化や高血圧、糖尿病などさまざまな病気を誘発します。アルコールの適量は約20gで、種類で換算すると以下のようになります。
タバコは血圧上昇、HDLコレステロールの減少、動脈硬化の促進などの原因となります。喫煙者はタバコを吸わない人に比べて約1.5倍、循環器病やがんになったり、それが原因で死亡する危険性が高くなります。吸いたくなったら (1)深呼吸 (2)お茶・紅茶を飲む (3)歯を磨く (4)こまめに身体を動かす など試してみましょう。
運動は血糖値や血圧を下げます。まずはウォーキングからはじめてみてはどうでしょう。少し息がはずむ状態をしばらく続けると体脂肪も減りますが、LDLコレステロールも減少し、HDLコレステロールが増加します。歩数が増えるほどHDLコレステロールは増加し、動脈硬化の予防につながります。
動脈硬化、またその危険因子となる高血圧、高脂血症、糖尿病などは自覚症状がないまま進行します。気づいたときには手遅れという状況も考えられます。定期的に検診を受け、まずその結果に関心をもちましょう。「異常なし」の結果でも、数値が境界域に近かったりする場合は早めに生活習慣の改善に取り掛かりましょう。
高血圧、高脂血症、それに肥満などは、動脈硬化につながる可能性が大です。それが最終的に脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血などの脳卒中となっていくのです。こうした症状を日常生活で予防することも大切ですが、忙しい社会生活の中で塩分の多い外食や過労、睡眠不足、ストレス、タバコ、酒などなかなかやめれないものです。
最近、脳卒中の予防や改善のために漢方薬を取り入れている人が増えているようです。その理由は、漢方薬が「血のめぐり」を良くすると同時に、免疫力を高めて、動脈硬化や高血圧、高脂血症など脳卒中の原因を予防、改善することからなのです。